神戸北ロータリークラブ 卓話 2012.07.21 医食同源   茅園建新

みなさんこんばんは
今日は医食同源についてお話しします。

医食同源(いしょくどうげん)とは、日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、治療しようとする考え方。
意外に思われるかも知れないが「医食同源」という言葉自体は中国の薬食同源思想から着想を得て、近年、日本で造語された。

「医食同源 体にいい食べもの」

普段、何気なく食べている食べ物にはそれぞれ体にいい成分が数多く含まれています。現在、いろいろな健康食品やサプリメントなどが出回っていますが、そのような補助食品に頼るのではなく、毎日食べる食事に気をつけることで体の内側から健康にしていきたいものです。


【健康的な生活4か条】

1.栄養のバランスのとれた規則正しい食生活

2.適度で継続的な運動

3.快適な睡眠

4.過度のストレスをためない

 

医食同源(薬膳)

古代中国では医師を4つのランクに分けた。最高位の医師は「食医」、すなわち王の食事の調理・管理を任されていたのであった。食医に次ぐランクは「疾医」で今の内科医系医師。次は「瘍医」で今の外科系医師。ともに食事が治療の重要な位置を占めていた。4番目のランクは獣医でした。古代中国では「薬」としての「食」の重要性が指摘されており、その意味で「医」や「薬」が食と「同源」という思想がありました。

 

日本料理は『引き算』、中国料理は『寄せ算・足し算』と言われ、日本の板前さんの多くは魚の皮・血合い・中骨を惜しげもなく捨てますが、薬膳では皮と血合いを大切にします。必須アミノ酸・ビタミン類・鉄分・カルシウムが多いので塩焼きや湯引き、炒め物など工夫して食べましょう。近頃は背の青いイワシ・サバ・サンマなど『光りもの』が注目されています。中国薬膳は「青い魚は体を温め、脾を助ける」と教えています。青い魚の油脂はEPA・DHAを含み血の粘りを取り除き、心臓や脳血管の病気を予防します。酸化が早く、臭みがあるのが難点ですが、ショウガや酢・梅干し・レモン・大根おろし・シソの葉・みそなどで調理するのがベターです。
ヒマワリ・紅花・月見草などの植物油はコレステロールを下げ、ヘルシーだとされていますが、動物・植物の油脂はほどほどにして、青い魚や緑野菜・根菜・海藻・シソ・エゴマを忘れずに食べるのが21世紀の薬膳です。

医食同源は、病気を治療するのも食事をするのも、健康を保つためで、源は同じという考えです。
中国から渡ってきた考えですが、医食同源という言葉は日本で作られた、中国では薬食同源といいます。
そこから、食物が持つ効能を念願において食事作りをしたり、漢方の生薬を食事に取り入れたりする薬膳が生まれました。
食養は中国の普通の家庭で作られている簡単な薬膳です。
薬膳は目的によって、病気を治療する食医と、病気や老化を予防し、健康を増進する食養との分かれます。
基本は、食物の持つ温熱性・平性・寒涼性という性質を知り、暑い夏は寒涼性の食物を多めに摂る、寒がりの人は夏でも寒涼性の食物を避けるといったように、季節の寒暖や自分の体のタイプに合わせて食物を選びましょう。
中国では、薬膳は親子代々受け継がれていくものですが、日本で薬膳を日常的に実行するのはなかなか難しいものがあります。
日本でいう医食同源とは、病気や老化を予防するために、栄養を考えて食事をすることを指しています。何を食べたらいいのか、日本の先人の知恵といえる日本食にたどり着きます。
魚介類や大豆製品などを主菜とし、野菜やきのこ、海藻をたっぷり摂り、納豆、醤油、味噌といった発行食品を摂る食事です。
もちろん、栄養バランスを考えて、肉や乳製品などを摂り入れることも大事です。
日本食の欠点である塩分の摂り過ぎに注意することも必要です。
医までは贅沢ともいえる、旬の素材、地の素材を精製し過ぎず、食物全体を丸ごと摂る、という食事が、医食同源につながります。

薬膳とは、陰陽五行説に基づいた、健康のための食事で、薬膳と呼ばれるようになったのは最近のことです。

 

万物は木、火、土、金、水の五つの物質からなり、内臓は肝、心臓、脾(胃、腸)、肺、腎臓の五臓に分ける。食べ物の味味と性質も五つに分ける。これを五味五性といいます。

五味とは酸、苦、甘、辛、鹹(かん)で、味が身体に薬効があり、どの味、どの食べ物がどの臓器に良いかという考え方である。鹹とは塩味のことで、ニガリを含んだ天然塩の味である。

酸は肝臓によく、苦は心臓によく、甘は胃によく、辛は肺や大腸によく、鹹は腎臓、膀胱に良い。

女性が妊娠したら酸っぱいものを食べたくなるが、それは胎児の胎毒のため肝臓が疲労するので酸っぱいものが必要になるからです。

五性とは温、微温、平、微寒、寒を意味し、身体を温める食べ物と冷やす食べ物があるという考え方である。

温は身体を温める作用で、平は寒熱の歪がなく、日常食べると滋養強壮効果がある。寒は清涼感があり消炎作用もあり、身体を冷やす作用がある。五性の真ん中の平になるよう、食べ物を組み合わせるのが良い食べ方である。熱にもせず、寒にもせずに組み合わせるのが一番いい。

朝鮮料理などでキムチチゲを作るとき、朝鮮人はかならず豚肉を入れる。なぜ牛肉を入れないか、キムチは温で、豚肉はからだを冷やす微寒だからだ。牛肉は温なので、温のキムチに温の牛肉を入れると温と温が重なって身体に良くない。

実際に食べてみれば分かりますが、キムチチゲの中に豚肉を入れるのと、牛肉を入れて食べるのでは豚肉を入れて食べる方が絶対に美味しい。

この理論を、東洋では二千年以上も前から取り入れて身体を守ってきているのです。 

中国や朝鮮、日本、東南アジアの諸国は自然の原理をきちっと守りつづけています。西洋でも同じです。この他、地域の気候風土により水分や塩分の摂り方は違ってきます。

陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)

古代中国では、自然界のあらゆるものを陰(いん)と陽(よう)にわけました。たとえば、太陽は陽で月は陰、奇数が陽で偶数が陰、表が陽で裏が陰という具合になります。こうした思想を陰陽思想といい、この陰陽思想はやがて五行と結びついていくことになります。
五行の思想は自然界は木(もく)、火(か)、土(ど)、金(ごん)、水(すい)の5つの要素で成り立っているというものでした。五行の行という字は、巡るとか循環するという意味があります。5つの要素が循環することによって万物が生成され自然界が構成されていると考えられていたわけです。
この五行(5つの要素)の相互間には、相性が良いとされる「相生(そうじょう)」、相性が悪いとされる「相剋(そうこく)」、ますます盛んに強くなるとされる「比和(ひわ)」があります。

 

http://www.geocities.jp/mishimagoyomi/inyo5gyo/souseizu32.jpg

相生(そうじょう)

木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ずるというのが「相生」といいます。
この関係は永遠の循環を示すものです。
「相性が良い」という言葉はここから生まれました。

http://www.geocities.jp/mishimagoyomi/inyo5gyo/soukokuzu31.jpg

相剋(そうこく)

木は土に勝ち、土は水に勝ち、水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝つというのが「相剋」です。
・木は土から養分を吸い取って生長する
・土は水を吸い取ってしまう
・水は火を消してしまう
・火は金属を溶かしてしまう
・金属は木を切ってしまう

比和(ひわ)
木と木、火と火、土と土、金と金、水と水は相乗効果でますます盛んになるというのが「比和」です。
これが良い方向へゆけば「さらに良し」となりますが、逆に悪い方向へゆくと「ますます悪くなる」ということになります。

五行の5っの要素は、季節や方角、色、臓器などいろいろなものにもあてはめられています。

 

五行配当表

五行

季節

土用

方角

中央

西

色彩

時刻

午後

臓器

肝臓

心臓

脾臓

肺臓

腎臓

五官

十干

(きのえ) 
(きのと)

(ひのえ) 
(ひのと)

(つちのえ) 
(つちのと)

(かのえ) 
(かのと)

(みずのえ) 
(みずのと)

十二支

(いん)
(ぼう)

(し)
(ご)

(ちゅう)
(しん)
(び)
(じゅつ)

(しん)
(ゆう)

(し)
(がい)

1,2,3

4,5,6

     

7,8,9

101112

 

 

大相撲の土俵上の吊屋根の四隅に4色の房が垂れ下がっていますが、これを四房(しぶさ)といいます。
四房のそれぞれの色は四季と天の四神獣(しじんじゅう)をあらわし、五穀豊穰(ごこくほうじょう)を祈念しているともいわれています。

正面東側 (東北)青房 東方の守護神 青龍神(せいりゅうしん=青い龍)春
向正面東側(東南)赤房 南方の守護神 朱雀神(すざくしん=赤い鳥)  夏
向正面西側(西南)白房 西方の守護神 白虎神(びゃっこしん=白い虎) 秋
正面西側 (西北)黒房 北方の守護神 玄武神(げんぶしん=黒い亀)  冬


この天の四神獣は、土俵を守る意味で四隅に祀(まつ)られています。
このような四神獣は高松塚古墳(昭和47年・1971に奈良県明日香村で発掘された飛鳥時代の古墳)やその南方1Kmのところから見つかったキトラ古墳の四方の壁にも描かれています。